
もはや空調服は、夏の定番アイテムの一つとして認識されつつあります。
建設現場や工場作業場以外にも、最近では登山や屋外イベントなどのレジャーや炎天下での農作業、交通誘導員など様々な場所で利用されるようになってきています。
暑すぎる夏には欠かせない存在となりつつあり、ますます利用されるシーンが増えていくことは間違いないでしょう。
そんな空調服について解説していきますので、参考にしてみてください。
なぜ空調服なのか?
空調服とは、ファン付き作業服とも言われていて、その名の通り作業服に小型ファンが装着されている商品のことを言います。
空調服に仕組みについては後ほど解説しますが、その前に、いま、なぜ空調服がこれほどまでに注目されているのかを紹介しておきます。
近年、日本の夏は暑い、というか暑過ぎます。
厚生労働省の統計データーによると、日本全国で2018年5月から9月までの間に、病院へ緊急搬送された熱中症患者の数は95,000人を超えていて、死者数は1,500人を超えています。
軽症者を含めれば、ひと夏で熱中症にかかる人は相当数と考えられます。
もはや他人ごとではないという事態になりつつあります。
熱中症対策には空調服
熱中症対策として、マメに水分や塩分を補給したり、できるだけ休憩を取るようにしたり、体調管理に気を使ったりということが基本でした。
使用が可能であればエアコンや扇風機を利用して、体の熱を取り除くことも対策としては重要ではあります。
しかし、仕事上そのような環境が整わないという職種も多くあります。
そこで登場してきたのが空調服ということになります。
どの様な環境下でも、空調服は手軽に着用が可能であり、コストパフォーマンスも抜群です。
空調服は1万円から2万円ほどで手に入り、駆動は充電式のバッテリーですので、ランニングコストも1日数十円で済みます。
環境にも優しい商品なのです。
空調服の仕組みについて
空調服の仕組みが、どうなっているか気になるところですね。
空調服は、作業着に小型ファンが装着されていて、そこから衣服の中に空気を循環させることで涼しさを実現しています。
小型ファンは衣服の背中側の後方に2個取り付けられているものが一般的です。
駆動は、バッテリー式と電池式がありますが、充電ができるバッテリー式のモデルが多く発売されていていますので、バッテリー式がおススメです。
小型ファンや充電バッテリーは以前に比べて軽量化が進められ、最近の商品では装着時に重さをそれほど感じることはないという印象です。
小型ファンの回転音も気になるということで、最近では消音化にも取り組まれていて、かなり回転音も静かになってきています。
年々、その性能はレベルアップしてきていますので、ユーザーにとっては至れり尽くせりと言えます。
空調服は気化熱の原理を利用
空調服は、小型ファンから冷たい空気が出てくるというわけではありません。
では、冷たい風を送らないでどうやって涼しくするのかという疑問が浮かんできますよね。
その答えは、気化熱を利用するということで、汗を蒸発させて熱を奪うという仕組みです。
汗をかくことによって下着が湿ったところへ、小型ファンにより衣服内に大量の空気を取り込みます。
大量の風を流すことによって汗を蒸発させるということで気化して熱を奪うということにつながり、そのことにより涼しく感じることができるという仕組みです。
湿った空気は襟元や袖口などから押し出されるように出ていくことになり、衣服内の熱を外へと逃がすことになるのです。
そのことにより必要以上の汗をかくことを抑え、体力の消耗を減少させた上、べたつきによる不快感も解消してくれます。
ですので、空調服は全く汗をかかないというわけではなく、汗をかくことにより、その汗を利用して体を冷やすということになるのです。
空調服の小型ファンについて
空調服の小型ファンは、非常にコンパクトにできていて、身動きするときにもほとんどその存在が気になることはありません。
小型ファンは、基本的には衣服の背中側の下側に左右1つずつ取り付ける形となっている商品が大半を占めています。
小型ファンは、プラスチック素材でできていて軽量ですが、その分強い衝撃を与えてしまうと割れてしまったり故障してしまう恐れがありますので、注意が必要です。
そして、気になるのが小型ファンの回転音についてですが、気にならないとは言えないのが正直なところで、ブーンという音は多少は気になるかもしれません。
静かな場所で利用するときは特に気になるかもしれませんが、慣れるしかないとも言えます。
ただ、近年メーカーの努力により、かなり消音化が進んできていますので、今後ますますの消音化にも期待が持てそうです。
空調服の小型ファンのお手入れは?
空調服の小型ファンは、衣服から簡単に取り外すことが可能となっています。
小型ファンは、衣服の内側から本体を空いた穴へ装着して外側から押さえのリングを取り付けることで挟み込み固定します。
取り外しもその逆に行うだけで簡単に出来ます。
メーカーによって多少の違いはあるものの、構造上はほぼ同じですので、取り扱いにはほとんど手間がかかりません。
お手入れは、衣服から取り外して表面をハケなどでほこりを落とし、中性洗剤を含ませた雑巾などで汚れを拭き取ります。
小型ファンにはモーターが内蔵されていますので、水をかけたり、あまりにもほこりがひどい場所での使用は故障の原因にもなりますので、注意が必要です。
もし、小型ファンが故障した場合には、単品で小型ファンだけ買い替えが可能ですが、3,000円前後しますので、気を使いながら使用する必要があります。
空調服のバッテリーについて
空調服のバッテリーは、小型ファンを動かすために必ず必要となっています。
小型ファンは、どのメーカーも同じような仕様のものが多いのですが、バッテリーには性能の違いがあり、それにより使い勝手に違いが出てきます。
バッテリー重量
重さはだいたい200g~300g前後のものが多いのですが、バッテリー容量が大きいほど重くなる傾向がありますが、メーカーによっても違いがあります。
バッテリー電圧
電圧のパワーも最大12V~7V前後のものがありますが、電圧が大きければ大きいほど稼働時間が長くなります。
バッテリーサイズ
本体のサイズは100ミリ×70ミリ×25ミリ前後の大きさのものが一般的で、スマートファンを一回り大きくしたほどの大きさと言えばわかりやすいでしょう。
バッテリー稼働時間
稼働時間に関しては、風量の強さの調整ができますので、使用のしかたによって違いが出てきますが、標準的な7Vで使用した場合は、機種によって違いがありますが、だいたい13時間から8時間ほど使用することが可能となってます。
空調服のバッテリーは高額
空調服のバッテリーは、充電が必要であり、だいたい6時間から8時間ほどかかりますので、充電の忘れには気を付けたいところです。
途中で充電が切れてしまったら大変なことになってしまいまい熱中症の原因となってしまいますので。
バッテリーは小型ファンとケーブルでつなぎ、衣服内にあるポケットの中に装着します。
以前に比べて、バッテリーは小型軽量化が進み、個人差はありますが装着していてもほとんど気にならないレベルにまでなりつつあります。
空調服の中のパーツの中でも一番高額なのがバッテリーで、だいたい1万円前後するものが主流となってきています。
故障や永年劣化による充電の低下によってバッテリーだけの買い替えは可能ですが、かなり高額なので、大切に使用したいところですね。
空調服の衣服について
空調服というと、作業服を思い浮かべてしまいますが、実際はどうなのでしょうか。
最近では、様々なデザインやタイプ、素材の空調服が商品化されていて、用途や環境に合わせて選択ができるようになってきました。
おしゃれなデザインやカラーの空調服もあって、普段のプライベートでも利用できそうなものまで出てきています。
以前ですと、長袖タイプが一般的でしたが、近頃では半袖タイプやベストタイプも出てきていて、人気を得ています。
長袖タイプですと、どうしても袖に空気が溜まって膨らんでしまい作業がしづらいということがありますので、気になる方は半袖タイプやベストタイプがオススメです。
空調服は素材も豊富
空調服の素材も用途に合わせて選択することが可能となっています。
おもな素材は、綿100%、ポリエステル100%、綿とポリエステルの混紡の3タイプに分けられます。
綿100%の特徴
天然素材ですので肌触りもよくて汗の吸着に優れていて着心地が良い上に、火気に強く火花が出る作業をする方に向いています。
しかし、ポリエステルに比べると少し割高となり、洗濯による色落ちやシワが出やすいというデメリットがあります。
ポリエステル100%の特徴
撥水性があり多少の水気は弾いてくれ、シワになりにくく洗濯しても色落ちしにくい上に、綿に比べると少し割安になります。
しかし、火花が飛ぶ作業をされる方ですと、火花によって穴が空いてしまうというリスクがあります。
そして、吸水性や通気性があまり良くないので、作業服がべたつきやすいというデメリットがあります。
綿とポリエステルの混紡の特徴
混紡度合いにもよるのですが、綿とポリエステルの良い部分を併せ持った素材で、洗濯しても色落ちやシワもそれほど心配ないですし、着心地も問題ないと言えます。
ただ、綿の割合が低いタイプですと機能的にも低下し、火花によって穴が空いてしまうということも考えられます。
空調服を購入する際には、衣服がどのような素材なのか確認して、自分の用途にあった商品を選ぶようにする必要があります。
空調服の有効利用のヒント
空調服は、ただ着用すれば効果が得られるというわけではなく、正しい使い方をしなければ、その能力を最大限に発揮してくれないということにもなりかねません。
その中でも、インナーは空調服の効果を左右する重要な存在であると言えます。
空調服の仕組みは、汗を気化させることで体の熱を奪い涼しくなるというものですので、インナーの吸汗性と速乾性によって効果の質が変わってきてしまいます。
吸汗性と速乾性が悪いインナーを着用している場合、思うような涼しさを得られないということもあり得ますので、できれば吸汗性と速乾性を備えたインナーと合わせて空調服を使用できると間違い無いでしょう。
最近では、吸汗性と速乾性を備えた冷感インナーも多く商品化されていて、1,000円から2,000円ほどで手に入れることができます。
空調服は手軽な熱中症対策
空調服というと、建設現場や工場作業、土木現場などの職人さんが利用するというイメージなのですが、近年では熱中症予防として利用場所の裾野が広がってきています。
空調服は、持ち運びも楽ですし、バッテリーが充電さえしてあれば電源も必要ありませんので、いつでもどこでも着用して暑さを凌ぐことが可能です。
新たな熱中症対策として、取り入れられていくことは間違いなさそうです。
機能性もアップしている上、デザイン性もおしゃれなタイプも増えてきていて、メーカー側の思惑としてはプライベートでも利用してもらえるよう意識しているように感じられます。
年々増えてきている熱中症の対策の一つとして、空調服はますます注目を集めそうな気がしますし、新たなジャンルの商品も増えていきそうな予感がします。
空調服とは?のまとめ
空調服とは、小型ファンによって衣服の中に空気を流して気化熱を起こさせ熱を奪うことで涼しさを実現しています。
空調服を構成しているのは、衣服、小型ファン、充電バッテリーの3つで成り立っています。
それぞれ、メーカーごとにタイプや性能に違いがあり、自分の用途に合わせて選択することが可能ですので、購入前にはしっかりとしたリサーチが必要です。
現在では、数多くのメーカーが空調服の販売に参入してきていて、商品選びにも迷ってしまうという方が多いようです。
まずは、仕組みや構造を理解することが、商品選びの失敗をさける第一歩と言えそうです。
そして、空調服は熱中症対策には欠かせない存在になりつつあり、今後ますます性能が良くなり種類も充実していくことにも期待が持てそうです。
空調服は、一度使ってしまうと、もう無くては無理という方が多いようです。
そんな空調服を利用しない手はないように思いますね。